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経営者の「万が一」に備え、会社を救う運転資金確保の秘策!

  • 執筆者の写真: 西川 浩樹
    西川 浩樹
  • 8月13日
  • 読了時間: 5分
運転資金のイメージ

事業を継続する上で、お金の不安は尽きないものです。特に近年は、円安や原材料・エネルギー価格の高騰、人件費の上昇といった逆風が吹き荒れ、多くの企業が資金繰りの厳しさに直面しています。さらに、一時的に企業の資金繰りを支えた融資の返済が本格化する中、「運転資金の不足」は、時に倒産へと直結する喫緊の課題となっています。

しかし、ご安心ください。適切な備えがあれば、不測の事態においても会社は落ち着いて対応し、打ち手の幅を広げることができます。今回は、中小企業にとって最も重要な「運転資金」の確保とその具体的な方法、特に経営者の「万が一」に備える画期的な方法について解説します。


そもそも「運転資金」とは?なぜそんなに重要なのか?

「運転資金」とは、一言で言えば「設備投資以外に必要なお金」のことです。具体的には、仕入代金や人件費、家賃、その他の経費の支払いなど、事業を回していくために日常的に必要となるお金全般を指します。

この運転資金が潤沢にあれば、たとえ一時的に業績が振るわなくても、倒産を免れることが可能です。一方で、運転資金が枯渇すれば、売上入金が少し遅れたり、臨時の支出があったりするだけで、すぐに資金ショートに陥る危険性があります。

運転資金の代表的なものに「経常運転資金」があり、これは「売掛金・受取手形+棚卸資産-買掛金・支払手形」で計算されます。事業を続けている限り、企業が立て替える必要のあるお金であり、その確保は企業の安定的な経営に不可欠なのです。


どれくらいの運転資金が必要なの?

では、実際にどれくらいの運転資金を用意しておくべきなのでしょうか?

 一つの目安として、「平均月商(年間売上高÷12ヶ月)の3ヶ月分」以上が最低限必要とされています。しかし、より推奨されるのは「平均月商の6ヶ月分」です。

なぜなら、現代は変化のスピードが非常に速く、いつまでも同じ商品・サービスが売れ続ける時代ではないからです。例えば、コロナ禍のように「新しい生活様式」への変化が求められた際には、従来の事業モデルでは立ち行かなくなる企業も多くありました。このような状況で、事業の再構築(新市場進出、事業・業種転換など)に取り組むためには、まとまった自己資金が必要になります。

「平均月商の6ヶ月分」の運転資金があれば、不測の事態にも冷静に対応でき、事業再構築のような攻めの経営にも柔軟に取り組める基盤ができます。


運転資金を確保する3つの方法

必要な運転資金を確保する方法は、大きく分けて以下の3つがあります。

1. 利益を出してお金を増やす(最も本質的な方法) 黒字の会社であれば、出せる利益を惜しまずに出すことが重要です。利益が増えると税金が増えるのを嫌い、経費を増やそうとするケースもありますが、それではお金が減ってしまいます。赤字の会社であれば、経営計画書を作成し、経営改善に取り組むことがポイントです。

2. 銀行借入れでお金を増やす 利益を出すことが最も本質的である一方で、利益だけで必要な運転資金を貯めるには時間がかかりすぎるのが現実です。例えば、年商3億円の会社が平均月商の6ヶ月分を貯めるには10年かかる計算になります。 そのため、利益を出して銀行からの評価を高めながら、銀行借入れを併用するのが現実的な方法です。日頃から銀行と良好な関係性を築いておくことで、いざという時の支援も受けやすくなります。

3. 生命保険でお金を備える 上記2つの方法によってもなお、必要な運転資金を確保できない場合、あるいは経営者に「万が一」の事態が起こった場合に備える有効な方法が、生命保険の活用です。 中小企業は、経営者のリーダーシップで成り立っている部分が大きく、経営者に何かあれば会社は大きなダメージを負います。生命保険(契約者:法人、被保険者:経営者)は、この「万が一」の際に、残された人たち(家族、社員、取引先など)が困らないように、そして会社の運転資金の不足を補うために非常に有効な手段です。


「万が一」に備える生命保険の活用術

生命保険で備える際には、必要な運転資金の不足分だけでなく、借入金の残額や経営者の退職金なども考慮して保険金額を設定することが重要です。

例えば、以下のようなケースを考えてみましょう。

• 必要な運転資金(現状の預金では不足する額): 5,000万円

• 借入金の残額: 1億円

• 経営者の退職金: 3,000万円

• 法人税率: 33%

この場合、保険金額の目安は次のようになります。

 5,000万円 + (1億円 × 1.49) + 3,000万円 = 2億2,900万円

 ※ここで「1.49」は、法人税などを考慮して、保険金が税引き後も必要な金額を確保できるように設定された係数です(1 ÷ (1 - 0.33) ≒ 1.49)。


保険料は年齢によって異なりますが、経営者の「万が一」という、会社にとって最大の危機に備える上で、生命保険は非常に有効な選択肢となります。


「運転資金」は、企業の生命線です。日々の事業活動を円滑に進めるためだけでなく、不測の事態や新たな挑戦の機会に際しても、十分な運転資金が強力な武器となります。

利益の確保や銀行借入れといった基本的な対策に加え、経営者の「万が一」という会社にとって最大の危機に備える生命保険の活用は、事業継続の強力なセーフティネットとなります。

いつ何が起こるか分からない現代において、先手必勝で資金繰りに備えることが、会社の未来を拓く鍵となるでしょう。 



 
 
 

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