もし、あなたが『引退』を余儀なくされたら? 死亡保障だけでは守れない経営と家族の未来:重大疾病保障保険
- 西川 浩樹

- 2025年12月17日
- 読了時間: 5分

多くの方が、万一の「死亡」に備えて保障を準備されています。特に経営者の方々にとって、ご自身の不在が事業やご家族にもたらす影響は計り知れないため、手厚い死亡保障を用意することは責任を果たす上で必須の準備だと言えるでしょう。
しかし、もしもの事態とは、必ずしも「死亡」だけではありません。
私たちは今、医療の進歩により、かつては致死的だった病気にかかっても、生存できる可能性が高くなっています。裏を返せば、「重大な病気を抱えながら、長く生きるリスク」、つまり生存保障の必要性が増しているということです。
特に、中小企業の経営者にとって、ガン、急性心筋梗塞、脳卒中といった重大な病気は、単に個人の健康問題にとどまらず、事業の存続そのものに直結する深刻なリスクとなります。
1.中小企業経営者が背負う重圧と生存リスク
会社を設立し、唯一の代表取締役として経営の責任を一身に背負う経営者は、銀行融資の連帯保証をはじめ、全ての責任を一人で負っています。会社を守り、社員やその家族の生活を守るという重圧感が、重大な病気の原因の一つになるのではないかと考える方もいます。
もし、あなたがガンなどの重い病気にかかり、療養や治療に専念する必要が生じたとき、発症する前と同様に経営手腕を発揮し続けることができるでしょうか?
体調が回復したとしても、以前のようなペースで社長として働くことが難しいと考えるケースもあります。
2.治療費だけでは解決できない「生存時の資金問題」
一般的に、医療保険やガン保険は、入院費や治療費を賄うことを主な目的としています。もちろん、これらの費用負担を軽減することは重要です。
しかし、経営者の場合、生存中に重大な疾病を患ったとき、本当に必要な資金は治療費だけでしょうか。
経営者の重大な疾病が事業にもたらす影響
運転資金のひっ迫: 経営者が不在となれば、事業判断や営業活動が滞り、売上が減少する可能性があります。これにより、事業を継続するための運転資金に苦労するかもしれません。
事業承継・引退の準備金: 療養期間を経て、やむを得ず引退を決断する場合、ご自身の退職金が必要となります。また、「今後を考える」ための選択肢として、後継者に円滑に事業を引き継ぐために、会社の借入金をゼロにしたいと考えるかもしれません。
一般的な保険で賄える「治療費」とは別に、こうした経営の継続、生活の維持、そして将来の選択肢を確保するための資金こそが、重大疾病時における「生存保障」の役割なのです。死亡保障があれば大丈夫、という時代ではなくなってきています。
3.備えるべき「重大疾病保障保険」とは
経営者が重大な病気になった際の備えとして効率的なのは、ガン(悪性新生物)、急性心筋梗塞、脳卒中という、特にリスクの高い三大疾病による「生存中のリスク」に焦点を当てた保障です。
これらの重大疾病の定義は厳密に定められています。
ガン(悪性新生物): 保障の責任開始日以後、初めてガンと診断確定された場合に支払事由となります(ただし、「上皮内新生物」および「皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚癌」は除かれます)。ガンの保障は、契約の責任開始の日を含めて91日目から開始される点にも注意が必要です。
急性心筋梗塞: 責任開始の時以後、急性心筋梗塞により初診日から60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したと診断されたときが支払事由となります。
脳卒中: 責任開始の時以後、脳卒中により初診日から60日以上、他覚的な神経学的後遺症が継続したと診断されたときが支払事由となります。
もしこれらの重大疾病と診断され、所定の支払事由に該当した場合、契約に基づき重大疾病保険金が支払われます。この保険金は、経営者が「今後を考える」ための選択肢、例えば、治療に専念するための資金、会社に残すための運転資金、あるいは借入金の返済などに充てることができます。
なお、重大疾病保険金が支払われた場合、その契約は基本的に消滅します。また、この保障で死亡されたときに支払われる死亡給付金は、重大疾病保険金よりも少ない金額になるか、まったくない場合があります。これは、この種の保障が、あくまでも「重大疾病による生存中のリスク」に重点を置いているためです。
4.「次を継いでくれる人のため」に選択肢を持っておく
中小企業経営者にとって、重大な疾病に備えることは、会社や社員、そしてご自身の家族に対する責任を果たすことに繋がります。
ある中小企業経営者の事例では、ガン宣告後、社長の重圧感から解放され、「もう社長として働くのは難しい」と考えていたところ、息子たちが自ら手を上げ、社長の役割と責任を引き継いでくれたという話があります。こうした希望ある未来は、適切な準備と「今後を考える」ための選択肢があったからこそ実現しやすくなります。
死亡保障だけでなく、「経営者が重大な病気になったときの備え」を効率的に準備する方法を検討することは、「次を継いでくれる人のために」、そしてご自身のために、今すぐに取り組むべき経営者としての重要な任務だと言えるでしょう。
重大な疾病による生存リスクに備えることは、事業の命綱であり、ご自身やご家族が安心して未来を描くための土台となります。これは、まるで、航海士が嵐の際に備えて用意する予備の舵のようなものです。メインの舵(健康)が壊れても、予備の舵(生存保障)があれば、航路を大きく外れることなく、港(未来)へたどり着くことができるのです。




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