社長、もし明日倒れたら会社はどうなりますか?――「病気リタイア」を企業の致命傷にしないための生命保険を活用した経営戦略
- 西川 浩樹

- 8 分前
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中小企業の経営者にとって、自らの健康は最大の経営資源であると同時に、最大の「不確実性」でもあります。多くの社長が「自分はまだ大丈夫」と考えてしまいがちですが、統計データが示す現実は想像以上にシビアです。社長の「病気」は、単なる個人の問題ではなく、企業を取り巻く「重大リスク」そのものなのです。
本記事では、万が一の病気による経営不在や引退が、会社にどのような金銭的インパクトを与えるのか、そしてそのリスクを「役員退職金」という形でどのようにコントロールすべきかを解説します。
1. 避けては通れない「重大疾病」の罹患リスク
まず、現実を直視するためにデータを見てみましょう。 国立がん研究センターの統計によれば、男性が一生涯でガンに罹患するリスクは64%、女性は51%にのぼります。特に、経営の中核を担う50代から60代にかけて、そのリスクは急激に上昇します。例えば、現在60歳の男性が10年以内にガンと診断される確率は15%、20年以内では39%にも達します。
さらに恐ろしいのは、診断後の「不在期間」です。 調査によると、ガン、脳血管疾患、心疾患といった重大疾病を患った人が復職するまで、約4割から5割の人が「6ヵ月以上」の期間を要しています。社長が半年以上も現場を離れることになれば、企業の存続に深刻な影響が出るのは火を見るより明らかです。
2. 社長不在が引き起こす「負の連鎖」と具体的な損失額
社長が病気で不在、あるいはそのまま引退を余儀なくされた場合、会社には以下のような「負の連鎖」が襲いかかります。
• 売上の急減: 社長個人の人脈や手腕に依存している企業ほど、営業力の低下は顕著になります。
• 固定費の圧迫: 売上が減っても、従業員の給与や地代家賃などの固定費は止まりません。中小企業の1社あたりの毎月の固定費は平均で約328万円というデータもあります。
• 資金繰りの悪化: 運転資金の不足に加え、金融機関からの借入返済が重くのしかかります。中小企業の平均借入金は約9,268万円にのぼり、社長が個人保証を提供している場合、その負担は家族や相続人にも及びます。
• 役員借入金の返済問題: 社長が会社に貸し付けているお金がある場合、引退時にその返済資金も準備しなければなりません。
このように、社長の不在は「中長期不在リスク」から「復職不能リスク」、最悪の場合は「死亡リスク」へと発展し、会社を倒産危機へと追い込む可能性があるのです。
3. 「病気での引退」を役員退職金で解決する
では、これらのリスクにどう備えればよいのでしょうか。一つの有効な手段が、「重大疾病保障保険」を活用した生命保険リスクマネジメントです。
この保険の最大の特徴は、死亡時だけでなく、生存中に「ガン(悪性新生物)」「急性心筋梗塞」「脳卒中」と診断され、所定の状態になった際にも保険金が支払われる点にあります。
この保険金は、以下のような用途で「役員退職金」として活用できます。
1. 病気リタイア時の生活資金・治療費: 万が一、病気で復職が困難となり引退を決断した場合、受け取った保険金を原資として「役員退職金」を支給できます。これにより、社長自身の治療費や引退後の生活を安定させることができます。
2. 事業承継を円滑にするための資金: 急な引退が必要になった際、後継者が事業を軌道に乗せるまでの一時的な売上減少を補填したり、借入金の一括返済に充てたりすることで、会社を健全な状態で次世代に引き継ぐことが可能になります。
3. 解約返戻金の活用: 重大疾病保障保険は解約返戻金があるタイプの商品もあり、無事に健康なまま勇退の日を迎えた場合には、解約返戻金を退職金の原資として充当することも検討できます。
4. 重大疾病保障保険のポイント
この保険は、最短55歳から最長100歳まで、経営者のニーズに応じた保険期間を設定できます。保障額も50万円から最大2億円までと幅広く、企業の規模や借入状況に合わせて設計が可能です。
特筆すべきは、「生存中のリスク」への備えができる点です。従来の死亡保険だけでは、病気療養中の固定費支払いや、病気による引退後の資金ニーズには対応しきれません。社長が「生きている間に直面する経営危機」をカバーできることこそ、この保険の真価です。
経営者の「最後の大仕事」としてのリスク管理
社長の仕事は、利益を上げることだけではありません。「自分が不在になっても、会社と従業員、そして家族を守り抜く仕組みを作ること」もまた、重要な経営判断です。
病気による引退は、誰にでも起こりうる現実的なリスクです。その時になって「資金が足りない」「家族に保証債務が残る」といった事態を避けるために、今から重大疾病に備えた退職金準備を始めてみてはいかがでしょうか。
「元気な今だからこそできる準備」が、将来の会社とあなた自身を救うことになるはずです。
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※注意点
• ガンの保障は、契約の責任開始日から91日目から開始されます。
• 急性心筋梗塞や脳卒中の場合、初診日から60日以上の労働制限や後遺症が継続したと診断されるなどの条件があります。
• 税務のお取扱いについては、必ず税理士等の専門家にご確認ください。




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